
当店では熊の手を、年間およそ300食お出ししています。
中国では「熊掌(ゆうしょう)」と呼ばれ、古くから最高級の食材とされてきた部位です。ただ日本で実際に食べられる店はほとんどありません。手に入らないからではなく、食べられる状態にするまでの手間が尋常ではないからです。
この記事では、その手間の中身と、実際にどんな味なのかを書きます。

どこの熊の手を使っているか
メインは秋田・長野・岐阜・新潟の月の輪熊です。ヒグマの手は、お客様からご要望をいただいたときに北海道から取り寄せています。
熊の手だけを買うことはできません。1頭分をまるごと仕入れるので、前足も後ろ足も入ってきます。1頭から4本。これが年間にお出しできる数を決めています。

ヒグマと月の輪熊は、手の大きさがまるで違う
同じ「熊の手」でも、ヒグマの手は大きい。大きいものは月の輪熊の倍以上あります。
この差は見た目の話では終わりません。大きさがそのまま仕込み時間に直結するので、その日届いた手を見てから火にかける時間を決めることになります。
前足と後ろ足で、食べるところが違う
あまり書かれていないことですが、前足と後ろ足では別物です。
| 特徴 | 向いている食べ方 | |
|---|---|---|
| 前足 | コラーゲン部分と骨が多く、可食部は後ろ足より少ない | 煮込み |
| 後ろ足 | 可食部が多い | 炭火焼にするなら断然こちら |
そして肉球について。「肉球の食感が魚の皮のようだ」と紹介されることがありますが、当店では現在、肉球はお出ししていません。硬くて食べづらいからです。獲れたものを全部出せばいいというものではないので、ここは正直に書いておきます。
熊の手の味と食感
熊肉そのものは、濃い赤身とたっぷりの脂でジューシー、牛肉に近いと言われます。
対して熊の手は、熊肉よりもあっさりしています。主役は肉の味ではなく、ぷるぷるとしたゼラチン質の食感です。豚足に近く、フカヒレやスッポンにたとえてもいい。味そのものが強く自己主張しないので、合わせるソースや味付けで印象が大きく変わります。

食べられるようになるまで、丸一日以上
熊の手が珍しいのは、この工程のせいです。
| 工程 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| 1. 毛むしり | 手についた毛をペンチでむしる | — |
| 2. 炙り | 取り切れない毛をバーナーで丁寧に焼く | — |
| 3. 下煮 | 中華風に仕上げる場合 | 半日 |
| 4. 本煮 | 手の大きさによって変わる | 5〜12時間 |
下煮に半日、そこから本煮に5〜12時間。合計すると丸一日以上かかります。
味付けは、独特の獣臭さを抑えるために味噌を使うこともあれば、中華風のソースで煮込むこともあります。熊肉は焼く・しゃぶしゃぶにするなど調理法が幅広いのですが、熊の手は煮るのが基本です。

一番苦労したこと
毛の下処理に慣れるまで、本当に苦労しました。
そして今も気を抜けないのが下煮です。手の大きさで必要な時間が大きく変わるので、時計だけを見て判断できません。同じ「熊の手」と呼ばれていても、月の輪熊の小さめの前足とヒグマの後ろ足では、別の食材のようなものです。目を離せない仕事です。
お客様の反応
熊の手をお持ちしたときの反応は、他の料理と少し違います。
言葉より先に「わー」と声が出て、笑顔になる。
味の感想はそのあとです。一生に一度食べるかどうかの料理なので、まず目で驚かれる。


一生に一度は食べたい動物1位に選びました
熊の手が食べられる「極・熊掌コース」
【極・熊掌】コース 〜森の王者が授ける、一生に一度の美食体験〜
全9品/38,000円(税込)/1〜6名様
- 先付:アライグマのリエット
- 冷菜:みかん猪のたたきサラダ仕立て/エゾ鹿のパテドカンパーニュ
- サラダ:エゾ鹿ビアシンケンとほろ苦い葉野菜のサラダ
- 中皿:蝦夷鹿炭火焼
- 強肴:エゾヒグマVS月の輪熊 対決ステーキ
- 主菜:熊の掌 姿煮
- 食事:羆のラグーソース パスタ
- 甘味:「美容と健康」ローズヒップ&こけもも
お人数により、熊の手の大きさと数が変わります。コースをご予約のお客様は、サービス料・お通し・深夜料金はかかりません。
熊の手は希少な部位のため、常時ご用意することができません。入荷したときのみのご提供となります。確実に召し上がりたい方は、ご予約時に「熊の手希望」とお伝えください。入荷状況はお電話でその場でお答えします。
☎ 人形町店 03-5640-2121 / ☎ 浅草店 03-5828-6788
ジビエ料理店「あまからくまから」では、季節でご提供メニューが変わります🥩🌿
現在ご提供している料理は、各グルメサイトでご確認いただけます。
▼あまからくまから 人形町店 の予約はこちら
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ご家庭で味わうなら「熊の掌 調理済」
丸一日以上の仕込みを済ませた状態の「熊の掌 調理済」(冷凍)も販売しています。解凍して加熱するだけです。詳しくは「【冷凍】極上の珍味を手軽に!解凍・加熱するだけ 熊の掌「調理済」を発売します。」をご覧ください。
よくある質問
Q. 熊の手はいつでも食べられますか?
A. いいえ。1頭分をまるごと仕入れる関係で、入荷したときのみのご提供です。ご予約時に「熊の手希望」とお伝えください。
Q. 前足と後ろ足、どちらが出てきますか?
A. そのときの在庫によります。炭火焼をご希望の場合は後ろ足のほうが向いていますので、ご予約時にご相談ください。
Q. ヒグマの手と月の輪熊の手は選べますか?
A. 通常は月の輪熊です。ヒグマの手はご要望をいただいてから北海道に手配しますので、お早めにご相談ください。
Q. 獣臭くないですか?
A. 下煮に半日、本煮に5〜12時間かけているのは、まさにそこを抜くためです。味噌や中華風のソースも、臭みを抑える役割を持っています。
Q. 熊の手のどこを食べるのですか?
A. ゼラチン質とコラーゲンの部分です。肉球は硬いため、当店ではお出ししていません。
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熊の手は年々入手が難しくなっています。今季の状況と、ほかの秋のジビエとの比較は熊は3分の1、穴熊は当たり年|2026年秋のジビエ ベスト10に書きました。
出典
- WWFジャパン「日本に生息する2種のクマ、ツキノワグマとヒグマについて」

