
ジビエ(gibier)とは、“食材となる野生鳥獣肉のこと”を指し、牛や豚などの畜肉とは異なる味わいから人気が高まっています(※1)。日本政策金融公庫が実施した「平成29年度上半期消費者動向調査」によると、50代以上の方の約4割がジビエを食べた経験ありと回答しました(※2)。
主なジビエには、鹿肉や猪肉、鴨肉、雉肉などの種類があり、秋から冬にかけて旬を迎える熊肉もその一つです。この記事では、ジビエとしての熊肉の魅力や、気になる味・におい、鹿肉や猪肉との違いについて解説します。
※1 農林水産省「知って!楽しむ!ジビエ」p2
※2 日本政策金融公庫「平成29年度上半期消費者動向調査」p4
ジビエ料理として熊肉が人気の理由
日本政策金融公庫の「平成29年度上半期消費者動向調査」によると、熊肉を食べたことのある方の割合は19.9%です。月に数回以上ジビエを食べる方に限ると、熊肉の割合は46.9%となり、鹿肉(62.5%)や猪肉(59.4%)に次ぐ多さとなっています(※)。
つまり頻繁にジビエ料理を食べるジビエファンにとって、もう一度食べたくなるのが熊肉なのです。ここでは、熊肉ならではの魅力を3つ紹介します。
- 鹿肉や猪肉と比べてあまり出回らないため
- 部位によっては高級和牛に匹敵する美味しさがあるため
- 疲労回復や美肌効果などが期待できるため
鹿肉や猪肉と比べてあまり出回らないため
熊肉は「山の恵み」として、古くから日本各地で食されてきました。しかし、熊は奥山を本来の生息地としているため、ジビエの代表格とされる鹿肉(もみじ)や猪肉(ぼたん)と比べると、あまり出回らない食材です。
熊肉の多くは羆で、北海道で狩猟・駆除されますが、食肉処理施設に搬入されて流通するのはごく一部です。食用とはならない熊肉も多く、ジビエの中では比較的珍しい食材となっています。
一部では、食品スーパーなどで熊肉を購入できる地域もありますが、流通量や下ごしらえの難しさを考えると、ジビエ専門店で注文するのがいいかもしれません。ジビエ専門店なら、熊鍋やしゃぶしゃぶ、焼き肉、ステーキ、煮込み料理など、さまざまな調理方法で熊肉を楽しめます。
ちなみに当店でステーキにする場合、精肉すると半分以上が筋肉で、違う料理に加工する必要があったりもします。
部位によっては高級和牛に匹敵する美味しさがあるため
熊肉を「再度食べてみたい」という方が多い理由は、一度食べたら忘れられない美味しさにあります。とくにロース(背ロース)・肩ロース・ヒレ(内ロース)などの部位は、野生鳥獣肉でありながら肉質が非常にやわらかく、ジビエファンに人気です。
熊肉は高級和牛と比較されることがありますが、脂の融点が低く口の中に入れた瞬間に溶ける和牛と違い、熊肉は旨味が長く続くと言われています。そのため、「高級和牛よりも美味しい」と感じる方も少なくありません。

疲労回復や美肌効果などが期待できるため
熊肉をはじめとしたジビエは、健康を増進させる「パワーフード」としての側面もあります。
ジビエには、現代人にとって不足しやすいビタミンやミネラルがたくさん含まれるため、疲労回復や美肌効果などが期待できます。また高たんぱく質・低脂質という性質から、筋トレやダイエットなどのボディメイクにもおすすめです。
また熊肉は、不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸が豊富です。オレイン酸には、悪玉コレステロールをゆるやかに減少させる効果もあると言われており、心疾患などの予防にもつながります。
熊肉の味やにおいは?

熊肉の魅力の一つが、牛や豚などの畜肉とは異なる「脂」の味わいです。とくに旬の時期になると、脂がよくのるため、流通価格が神戸牛より高くなることもあります。
熊肉というと、獣臭いイメージがあるかもしれません。しかし、きちんと下処理されていれば、熊肉から臭みを感じることはほとんどありません。
ここでは、熊肉の味やにおいについて紹介します。
熊肉の味の特徴は口どけのよい「脂」にある
熊肉は、牛肉に比較的近い食感をしていますが、その味わいは大きく異なります。
熊肉の特徴とされるのが、赤身の周りにたっぷりとついた「脂」です。熊肉の脂は口どけがよく、ほのかな甘さが感じられます。ブナの実が主食の個体は脂がやわらかくなり、ドングリの実が主食の個体は旨味が強くなるなど、熊が好んで食べるものによっても脂の風味は変化します。
熊肉をそのまま焼くか、薄くスライスしてしゃぶしゃぶ(熊しゃぶ)にすることで、深いコクのある脂の味わいを楽しめるでしょう。
きちんと処理された熊肉はにおいが少ない
熊肉は野生鳥獣肉であるため、熊独特の香りや風味があります。しかし、一般的に言われているように、熊肉はきつい獣臭があるわけではありません。その場できちんと処理(血抜きや解体など)された肉であれば、むしろジビエの中でも比較的食べやすいです。
とくにツキノワグマは、植物食の傾向が強い雑食性の生き物であり、ドングリや果物、木の芽などを主食としています。個体差はあるものの、肉に野生動物のような臭みがないため、ジビエを初めて食べる方にもおすすめです。
熊肉を美味しく食べるなら、旬の時期がおすすめ
熊肉を美味しく食べるなら、旬の時期がおすすめです。
熊肉の旬は、秋から冬にかけての時期と言われています。秋になると、冬ごもりに向けて熊が脂肪を蓄えはじめるため、脂がたっぷりとのった熊肉を楽しめます。
また「春熊狩り」が行われる4月下旬から初夏に獲れた熊肉も美味しいとされる時期です。山菜などをたらふく食べた月の輪熊の肉は爽やかな香りがします。
熊肉と鹿肉・猪肉との違い
ジビエというと、鹿肉(もみじ)や猪肉(ぼたん)を連想する方も多いでしょう。
ジビエレストランで提供される食肉の大部分は、鹿肉や猪肉です。令和4年に食肉として処理された頭数は、鹿が10万8,892頭(68.9%)、猪が36,087頭(22.8%)となっており、全体の約9割を占めています(※)。
ここでは、熊肉と鹿肉・猪肉の違いを紹介します。
鹿肉はヘルシーで高たんぱく質・低脂質
鹿肉は脂質が少なく、非常にヘルシーな食肉です。例えば、牛肉の100gあたりのエネルギーは294kcalですが、鹿肉は半分以下の119kcalしかありません。また100gあたりの脂質はわずか4.0gと、熊肉よりも低脂質です(※)。
一方で、100gあたりのたんぱく質は23.9gあり、牛肉の17.1gを上回ります(※)。ただし、たんぱく質は個体にもよるものの、熊肉の方が豊富に含まれます。
猪肉は鉄分やビタミンB12などが豊富
猪肉は体に必要な栄養素をたっぷり補うことができるため、古くから滋養強壮のために食されてきました。
たんぱく質や脂質の含有量で見ると、猪肉は豚肉とよく似ています。一方で、ビタミンB群や鉄分は猪肉の方が豊富です。
猪肉と熊肉を比較すると、ビタミンB1は熊肉の方がより多く含まれています。ビタミンB1は、体内でのエネルギー産生を助ける働きをするため、熊肉を食べることで疲労回復などの効果が期待できるでしょう。
熊肉を美味しく味わうなら、きちんと肉が処理できるジビエ専門店へ!
ジビエの中でも、熊肉は鹿肉(もみじ)や猪肉(ぼたん)と並んで人気のある食材です。とくに深いコクのある脂は、ジビエを何度も食べるジビエファンにとっても忘れられない、高級和牛にも匹敵する味わいです。
熊肉には、野生鳥獣肉ならではの風味があるものの、きちんと下処理がされていれば、きつい獣臭を感じることはありません。
熊肉を食べてみたい方は、ぜひ「あまからくまから」にご来店ください。熊が冬ごもりの準備を始める旬の時期はもちろん、「春熊狩り」が行われる春や、熊肉の供給が少ない夏にも、美味しいジビエ料理を提供いたします。
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