ジビエ料理 あまからくまから・東京

日本橋人形町と浅草にあるジビエレストラン

山鳥(ヤマドリ)の食べ方・獲り方をジビエ専門店店主が徹底解説

山鳥(ヤマドリ)の食べ方・獲り方をジビエ専門店店主が徹底解説

野山に棲む鳥の中でも、山鳥(ヤマドリ)の肉はとても美味しいと言われています。地鶏のようにやわらかく、噛めば噛むほど旨味が出てくるため、鳥撃ちハンターにとって人気のあるターゲットの一つです。

しかし、山鳥はキジと同様に捕獲数が制限されており、販売には都道府県などの許可が必要なため、あまり流通していません(※)。

山鳥のお肉は、どのような味がするのでしょうか。この記事では、山鳥の美味しい食べ方や捕獲方法、食べられる種類について詳しく解説します。

環境省「捕獲許可制度の概要」

山鳥(ヤマドリ)を美味しく食べる方法

山鳥(ヤマドリ)は、本州や四国、九州の山地に広く分布する野鳥です。キジ科に属しており、オスにはキジとよく似た長い尾羽があります。手塚治虫の漫画作品、『火の鳥』のモデルにもなった日本の固有種です。

山鳥は狩猟鳥獣に指定されており、鳥獣保護管理法に定められた狩猟期間であれば、捕獲して食べることができます(※1)(※2)。味わいは地鶏に近いとされ、やわらかい肉質や独特の香ばしい香りから、野鳥の中でも根強い人気を誇ります。

ここでは、ジビエレストランでもなかなか出回らない山鳥の美味しい食べ方や、代表的な調理方法を紹介します。

※1 環境省「狩猟鳥獣の法的な定義等」p1

※2 環境省「狩猟制度の概要」

羽をむしってしっかりと下処理をする

山鳥はキジと同様に、長い尾羽を持つ鳥です。食べる前にまず羽をむしり、しっかりと下処理をする必要があります。

下処理の際は、衛生対策としてゴム手袋を装着し、羽や肉に素手で触れないようにしましょう。ビニール袋の中で羽をむしると、羽毛が周囲に飛び散らないため、後片付けが簡単です。

山鳥で大きな肉の塊が取れるのは、モモや胸の部位です。狩猟によって捕獲された個体の場合、散弾が残っていることがあるため、お肉を解体する際に確認しましょう。

山鳥のガラ(骨)を保存しておくと、出汁が取れる

モモ肉や胸肉を切り離したら、ガラ(骨)の部分を保存しておくことをおすすめします。山鳥のガラからは、金色に輝く美味しい出汁が取れるからです。

鶏ガラスープと比べると、山鳥のガラで取った出汁は、上品で奥深い味わいがあります。市販の鍋用スープに出汁を加えて、寄せ鍋にするとよいでしょう。キジ鍋と並んで、山鳥の鍋(ヤマドリ鍋)は絶品とされています。

山鳥の脂はあっさりとしており、スープにほとんど油分が浮かないため、脂っこい料理が苦手な方にもおすすめです。

秋田県の郷土料理「きりたんぽ鍋」が有名

山鳥は秋田県に多く生息しており、公募によって県鳥にも選ばれています(※)。古くから、県北地方を中心として食用とされてきました。

秋田県の郷土料理である「きりたんぽ鍋」も、県北地方のマタギが山中に持ち込んだ携行食を、狩猟した山鳥の肉や天然のキノコと一緒に煮たものが起源とされています。

山鳥のお肉は流通量が少なく、現在は栃木県などの一部地域を除いて食肉用の販売が許可されていませんが、ぜひ一度その美味しさを味わってみてください。

秋田県「秋田のシンボル(キッズページ)」

山鳥の捕獲方法

山鳥を捕獲する「ヤマドリ猟」は、鳥撃ちの中でも難易度が高く、忍耐を必要とするとされています。代表的な猟法として知られているのが、猟犬とともに山に入り、沢の近くで山鳥を待ち構える「沢下り撃ち」です。

山鳥には、猟犬の視線を感じると沢に沿って滑空するように飛ぶ習性があります。猛スピードで沢を下りてくる山鳥を撃つことから、「ヤマドリの沢下り撃ち」と呼ばれるようになりました。

空気銃よりも散弾銃での狩猟が一般的

鳥撃ちには、空気銃や散弾銃などの銃が用いられます。山鳥を捕獲する場合、散弾銃での狩猟が一般的です。

空気銃は、散弾銃などの装薬銃と比べると弾速が遅いため、動く目標を狙うのには向いていません。空気銃で狩猟する場合は、林道に沿って車やバイクで移動し、木の枝などに止まった獲物を探す「流し猟」をすることになります。

散弾銃による狩猟でも、流し猟をすることがあります。ただし山鳥を狙う場合は、「ヤマドリの沢下り撃ち」のように、猟犬を用いるのが一般的です。散弾銃は弾速が速いため、熟練のハンターであれば、飛び立った鳥を撃ち落とすことも可能です。

散弾銃を狩猟に用いる場合は、空気銃用の第二種銃猟免許ではなく、散弾銃・ライフル銃用の第一種銃猟免許を取得する必要があります(※)。

環境省「ハンターになるには」

地域によっては山鳥が放鳥されていることも

ヤマドリ猟は比較的難易度が高いとされているものの、地域によっては林道のすぐ近くで、野生の山鳥の姿を見かけることがあります。一部地域では、山鳥の個体数を増やすため、地元の猟友会が中心となって放鳥を行っているからです。

放鳥された山鳥は、野生の個体よりも警戒心が薄いため、狩猟初心者の方でもあっさり捕獲できるケースもあります。

ただし、山鳥は鳥獣保護管理法によって指定を受けた狩猟鳥獣です。山鳥を捕獲する際は、狩猟してもよい期間や区域かどうか、事前に確認しましょう(※1)。

区域狩猟期間
北海道以外の区域毎年11月15日~翌年2月15日(猟区内:毎年10月15日~翌年3月15日)
北海道毎年10月1日~翌年1月31日(猟区内:毎年9月15日~翌年2月末日)

また山鳥は1日あたりの捕獲数が制限されており、キジと合わせて2羽までしか捕獲できません(※2)。

※1 環境省「狩猟制度の概要」

※2 東京都環境局「狩猟鳥獣の種類等について」

食べられる山鳥と食べられない山鳥

山鳥は生息地域によって、キタヤマドリやシコクヤマドリ、ウスアカヤマドリ、アカヤマドリ、コシジロヤマドリの5つの亜種に分かれています。山鳥の亜種によっては、狩猟が禁止されているものもあります。

また山鳥の個体数を保護するため、メスの山鳥は原則として捕獲できません。ここでは、狩猟して食べることができない山鳥を紹介します。

メスの山鳥は一部の猟区以外で狩猟が禁止されている

メスの山鳥やキジは、放鳥が行われている一部の猟区(放鳥獣猟区)を除き、狩猟が禁止されています。2022年に捕獲制限が延長され、2022年9月15日から2027年9月14日まで、メスの山鳥・キジを捕獲できなくなりました(※)。

山鳥を捕獲する際は、尾の長さや体の大きさなどから雌雄を区別し、狩猟してもよい個体かどうか判断する必要があります。

環境省「鳥獣の違法捕獲の防止」

コシジロヤマドリは狩猟鳥獣に指定されていない

山鳥の5つの亜種のうち、コシジロヤマドリは鳥獣保護管理法における狩猟鳥獣に指定されていません。そのため、コシジロヤマドリを捕獲すると、鳥獣保護管理法に違反し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります(※)。

コシジロヤマドリは、腰の部分がはっきりと白くなっており、外見的な特徴から判別することが可能です。

環境省「狩猟鳥獣の指定の変更等に関する中央環境審議会答申について」

日本橋人形町と浅草にあるジビエレストラン、「あまからくまから」では、雷鳥や山鳩、山鶉など、さまざまな野鳥のお肉を提供しています。一羽丸ごとではなく、半羽からご提供することも可能です。

家畜として育てられた鶏肉とは異なる、野趣あふれる野鳥肉を食べてみたい方は、ぜひ「あまからくまから」にご来店ください。

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この記事の投稿者

あまからくまから 店主 林育夫
この記事を書いたのは、ジビエ料理の専門店を経営する有限会社ティナズダイニング 代表の林育夫(はやしいくお)です。

1987年から飲食業界に携わっており、1994年に独立し日本橋人形町に自分のお店を構えました。
2000年には法人化し有限会社ティナズダイニングを設立しました。

現在は、東京都内で、熊、鹿、猪、鳥などの新鮮なジビエ料理が楽しめる「あまからくまから」と、アイヌの伝統文化を体感しながらアイヌ料理を味わえる「ラムレンカイネ」を運営しています。

TBS「ラヴィット」やNHK「NHKスペシャル」などのテレビや、新聞「日刊スポーツ」、雑誌「おとなの週末」など多数のメディアでもご紹介いただいています。
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