野生鳥獣のお肉(ジビエ)というと、鹿肉を連想する方も多いでしょう。
日本政策金融公庫が平成30年1月に実施した調査によると、ジビエを食べたことがある方のうち、64.8%が鹿肉を食しています。またジビエを月に数回以上食べる方に絞ると、最も多く食べられているのが鹿肉なのです(※)。
鹿肉は美味しいだけでなく、低脂肪・高たんぱくなヘルシーフードとしても知られています。
あまからくまからでも大変好評で褒めていただくことが多い鹿肉料理、
この記事では、鹿肉の栄養価や味の特徴、美味しく食べる方法や、鹿肉の旬について解説します。
※ 日本政策金融公庫「ジビエを「再度食べてみたい」が7割超、理由は「おいしい」が最多」p5
鹿肉に含まれる栄養や味の特徴
鹿肉は「もみじ」と呼ばれ、イノシシ肉(ぼたん・山くじら)と並んで、日本で古くから食べられてきたお肉です。現在も流通量は多く、令和5年度の調査によると、鹿肉は国内で食肉加工されたジビエの66.3%(12万1,117頭)を占めています(※)。
その理由の一つが、「ブランド牛の赤身肉」にも例えられる食感と美味しさです。特に西洋では、ベニスン(venison)と呼ばれる高級食材であり、ノーベル賞授賞式後の晩餐会のメイン料理として鹿肉が提供されることもあります。
また鹿肉は、その健康効果にも注目が集まっています。ここでは、鹿肉の栄養価や、味・食感について紹介します。
※ 農林水産省「令和6年12月版 知って!楽しむ!ジビエ」p10
鹿肉は低脂肪・高たんぱくなヘルシーフード
鹿肉は牛や豚などの畜肉と比較すると、脂質が少なく、たんぱく質が多い低カロリーでヘルシーなお肉です(※)。
栄養素(100gあたり) | ||||||
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脂質 | たんぱく質 | ビタミンB2 | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 鉄 | |
鹿肉 | 4.0g | 23.9g | 0.35mg | 0.6mg | 1.3μg | 3.9mg |
牛肉※和牛肉(サーロイン) | 25.8g | 17.1g | 0.17mg | 0.35mg | 1.4μg | 2.0mg |
豚肉※肩ロース(脂身つき) | 19.2g | 17.1g | 0.23mg | 0.28mg | 0.5μg | 0.6mg |
特に100gあたりの脂質は、牛肉の約15.5%、豚肉の約20.8%しかありません。同じ狩猟肉であるイノシシ肉も、100gあたりの脂質は19.8gと比較的多いため、鹿肉はジビエの中でも随一のヘルシーミートです。
また鹿肉には、ビタミンB2やビタミンB6、鉄分などの栄養素も豊富に含まれます。普段の食生活で不足しやすいビタミンやミネラルを効率よく摂取できるため、さまざまな健康・美容効果が期待できます(※)。
- 筋トレやダイエット
- 貧血予防
- 疲労回復
- 美肌効果などの美容
※ 農林水産省「令和6年12月版 知って!楽しむ!ジビエ」p14-15
癖や臭みが少なく、あっさりとした味わいが特徴
鹿肉は特有の癖や臭みが少なく、ジビエを初めて食べる方にもおすすめのお肉です。肉質は繊細でやわらかく、赤身の部分が多いためあっさりとした味わいです。
特に北海道にのみ生息するエゾ鹿は、北海道の厳しくも豊かな自然環境の中で育つため、赤身肉に旨味が凝縮されています。季節によって赤身と脂身のバランスが変わるため、四季折々の変化を楽しめるでしょう。
鹿肉を美味しく食べる方法
ここでは、鹿肉を美味しく食べる方法を4つ紹介します。
- 炭火焼
- 唐揚げ
- 赤ワイン煮込み
- オハウ(アイヌ鍋)
炭火焼
赤身肉の旨味を味わうなら、炭火焼がおすすめです。炭火でじっくり時間をかけて調理することで、香ばしい香りとともに、鹿肉本来の美味しさを引き出せます。
鹿肉には、ロースや肩ロース、モモ、シンタマ、ネック、スネなど、さまざまな部位がありますが、炭火焼にするならやわらかい内モモが適しています。肉が固くならないように、炭火焼で丁寧に焼き上げていくのがポイントです。
ジビエ専門店の「あまからくまから」でも、エゾ鹿の内ももの炭火焼を提供しているため、ぜひご来店ください。
唐揚げ
鹿肉を手軽に味わうなら、唐揚げがおすすめです。赤身肉のさっぱりした味わいが、下味をつけて揚げる唐揚げによく合います。
美味しい唐揚げにするには、鹿肉の下処理が重要です。醤油やみりん、酒、しょうが、ニンニクなどを混ぜ合わせた調味液に鹿肉を漬け込み、しっかりと臭みを取りましょう。また調味液に無糖ヨーグルトを加えると、乳酸菌の効果で肉質がやわらかくなり、旨味も増します。
鹿肉をご家庭で調理する場合は、中心部まで十分に加熱してください。
赤ワイン煮込み
赤ワイン煮込みも、鹿肉の定番料理の一つです。炭火焼や唐揚げと異なり、主にスネ肉が使われます。
通常は筋が多く、焼いて食べるには不向きとされるスネ肉も、煮込み料理なら美味しく食べられます。スネ肉にはゼラチン質が豊富に含まれるため、煮込むことでトロッととろける食感を楽しめるでしょう。
特に鹿肉は赤ワインとの相性が良いため、デミグラスソースなどと合わせて煮込むのがおすすめです。ワインの味に丸みが出るまで、じっくりコトコト煮詰めましょう。
チタタプした鹿肉のオハウ(アイヌ鍋)
チタタㇷ゚とはアイヌの人たちの料理法で野生動物の肉や小骨などを叩いて生で食べたりお鍋でたべたりします。叩く際にチタタㇷ゚、チタタㇷ゚といいながら、みんなで力をあわせて叩き続けます。当店ではえぞ鹿(ユク)の肉と北海道の行者ニンニク(プクサ)をお客様でチタタㇷ゚していただきオハウ(お鍋)で食べていただきます。
鹿肉の旬はいつ頃?
鹿肉の旬は、鹿がたっぷりと脂をつける冬頃だとされています。しかし、同じ在来種であるニホンジカでも、種類によって旬の時期が異なります。
地域 | 鹿の種類 |
---|---|
北海道 | 蝦夷鹿(エゾシカ) |
本州 | 本州鹿(ホンシュウジカ) |
四国・九州 | 九州鹿(キュウシュウジカ) |
対馬(長崎県) | 対馬鹿(ツシマジカ) |
馬毛島(鹿児島県) | 馬毛鹿(マゲジカ) |
屋久島(鹿児島県) | 屋久鹿(ヤクシカ) |
慶良間諸島(沖縄県) | 慶良間鹿(ケラマジカ) |
例えば、北海道のエゾ鹿の肉は冬に旬を迎えますが、本州に広く分布する本州鹿の中には、夏に脂をつける個体もいます。
ここでは、鹿肉が美味しいシーズンについて、鹿の種類別に紹介します。
エゾ鹿の美味しい時期は11月~12月
エゾ鹿の美味しい時期は、11月から12月にかけてです。
北海道では、冬になると山が雪に覆われ餌が少なくなるため、エゾ鹿は晩秋から脂を蓄えはじめます。赤身が多い鹿肉ですが、この時期のエゾ鹿は上質な脂身がたっぷりと乗っており、口どけのよい脂を楽しめます。
脂肪分が少ない赤身肉が好きな方は、夏の時期がおすすめです。特に2歳くらいまでの若い鹿は、肉質がやわらかく焼肉やステーキに適しています。
本州鹿のオスは夏に脂が乗る個体もいる
一方、本州鹿のオスは夏頃がベストシーズンだと言われています。オスの中でも強い個体が、繁殖のために栄養豊富な新芽を食べ、まるまると脂を蓄えるからです。
ジビエレストラン「あまからくまから」では、この時期の本州鹿を夏鹿と呼んでいます。肉質がやわらかく、美味しい脂が乗った夏鹿を食べてみたい方は、ぜひご予約ください。
もちろん、冬の時期に脂が乗るエゾ鹿の肉も提供可能です。定番の炭火焼やステーキなど、さまざまなメニューをご用意しています。
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