
東京・浅草/人形町のジビエ料理店「あまからくまから」です。最近、お店でジビエを召し上がったお客様から「自分でも狩猟をしてみたい」「罠免許に興味がある」というご相談をいただくことが本当に増えてきました。鹿肉や猪肉、熊肉を味わううちに、その背景にある“山の営み”や“いのちをいただく仕事”へと関心が広がっていくのは、料理人としても嬉しい流れです。
そこで今回は、これから狩猟の世界に足を踏み入れたい方に向けて、罠免許・狩猟免許・猟銃の取り方の基本と、ジビエ料理店だからこそお伝えしたい視点をまとめました。これから免許取得を検討される方の最初の一歩になれば幸いです。
狩猟免許には4つの種類があります
「狩猟免許」とひと口に言っても、実は使用する猟具によって 4つの区分 に分かれています。自分のスタイルに合うものを選ぶことが大切です。
- 網猟免許:むそう網・はり網などを使う猟。鳥類が中心。
- わな猟免許:くくりわな・はこわな・はこおとし・囲いわなを使う猟。鹿・猪の有害鳥獣対策で需要が大きい。
- 第一種銃猟免許:ライフル銃・散弾銃・空気銃すべてを使える猟銃免許。
- 第二種銃猟免許:空気銃のみを使用できる免許。
ジビエとしてよく扱う鹿や猪を「自分の手で獲りたい」という方は、まずはわな猟免許から取得される方が増えています。費用も比較的抑えやすく、社会人でもチャレンジしやすい入口です。
罠免許(わな猟免許)の取り方
受験資格
- 20歳以上(網猟・わな猟は18歳以上に引き下げ)
- 住所地の都道府県で受験
- 欠格事由(精神疾患・薬物中毒・破産者等)に該当しないこと
取得までの流れ
- 都道府県の環境部局/猟友会へ申し込み
- 初心者講習会(事前講習)に参加(テキスト・例題集の入手)
- 狩猟免許試験を受験(知識試験/適性試験/技能試験)
- 合格後、狩猟免状の交付
- 狩猟をする年度ごとに「狩猟者登録」を行う
技能試験では、実際のくくりわな・はこわなの架設や、鳥獣の判別(イラストで可猟獣か非狩猟獣かを答える)が出題されます。事前講習に出ておくと合格率がぐっと上がります。
費用の目安
- 受験手数料:5,200円程度(他免許所持者は減額あり)
- 事前講習会:10,000〜13,000円程度
- 狩猟者登録(わな猟):8,200円+ハンター保険など
銃猟免許(第一種・第二種)と猟銃所持許可の取り方
銃を使って狩猟をしたい場合は、「狩猟免許(第一種または第二種銃猟)」と「猟銃・空気銃所持許可」の2つの許可がどちらも必要です。名前が似ているため混同されがちですが、役割はまったく違うので注意してください。
① 狩猟免許(第一種・第二種銃猟)……都道府県が行う試験に合格してもらう免許で、「銃を使って野生鳥獣を捕獲してもよい」という狩猟行為そのものの資格です。
② 猟銃・空気銃所持許可……警察署(公安委員会)が発行する許可で、「その銃を所有・所持してもよい」という銃そのものを持つための許可です。
つまり、「①狩猟免許」だけでは銃を持てず、「②所持許可」だけでは狩猟ができません。銃で狩猟をするには必ず両方をそろえる必要があり、ここがわな猟免許との一番大きな違いです。
▼ 銃猟デビューまでの受験順序(イメージ図)▼
STEP 1 警察署で事前相談
(生活安全課に「銃を持ちたい」と申し出る)
▼
STEP 2 猟銃等講習会(初心者)を受講&考査合格
▼
STEP 3 教習資格認定申請(身辺調査)
▼
STEP 4 射撃教習を受講し、技能検定に合格
▼
STEP 5 銃を選び 「猟銃・空気銃所持許可」 を申請
(許可証交付後に銃砲店で銃を受け取り、ガンロッカー等を設置)
▼
STEP 6 都道府県で 「狩猟免許(第一種または第二種銃猟)」 を取得
▼
STEP 7 狩猟する都道府県で「狩猟者登録」
▼
🎯 銃猟デビュー!
※ STEP 5の「所持許可」と STEP 6の「狩猟免許」は順番が前後しても構いませんが、警察側の審査に時間がかかるため、所持許可の手続きを先行させる方が多いです。どちらか一方が欠けると銃猟はできない点にご注意ください。
猟銃所持許可までの大まかな流れ
- 警察署生活安全課で事前相談
- 初心者講習会(猟銃等講習会)を受講&考査に合格
- 教習資格認定申請(身辺調査あり)
- 射撃教習を受講し、技能検定に合格
- 所持したい銃を選び、所持許可申請
- 許可証交付後に銃砲店で銃を受け取り、ガンロッカー・装弾ロッカーを設置
- 狩猟免許(第一種または第二種銃猟)を取得し、狩猟者登録
所持許可の段階で、住居・職場・家族構成・交友関係まで含めた厳格な審査が行われます。取得まで半年〜1年程度を見込み、計画的に進めることが現実的です。
費用の目安(銃猟)
- 猟銃等講習会:6,800円
- 射撃教習:30,000〜40,000円程度
- 所持許可申請:10,500円
- ガンロッカー・装弾ロッカー:合計5〜10万円
- 散弾銃本体:中古10万円〜/新銃20万円〜
- 狩猟者登録(銃猟):16,500円+ハンター保険
免許取得後にやっておきたいこと
- 地元猟友会への加入:仲間との同行猟、解体場所、有害鳥獣捕獲従事者への登録など、リアルな情報源は猟友会から。
- 射撃場・わな架設練習:年に数回は必ず練習を。技能維持は安全の基本です。
- 食肉処理・流通の知識:自家消費か、認定処理施設へ持ち込むかで法令上の扱いが変わります。販売には食肉処理業の許可が必要です。
ジビエ料理店から、これから猟を始める方へ
当店「あまからくまから」では、北海道のエゾ鹿、ヒグマ、月の輪熊、穴熊、猪など、信頼できる猟師さん・処理施設から仕入れたジビエをお出ししています。日々お肉と向き合っていて思うのは、「美味しいジビエは、現場の丁寧な仕事の積み重ねから生まれる」 ということです。
- 止め刺しから放血、内臓摘出までのスピード
- 個体の状態(雌雄・季節・餌・脂のノリ)を見極める目
- 運搬・冷却・熟成の温度管理
これらが揃って初めて、臭みのない、上品な香りのジビエになります。狩猟を始める方には、ぜひ 「獲って終わり」ではなく「美味しく食べきるところまで」 を意識していただきたいと思っています。それが、結果として獣たちへの一番の敬意になると感じています。
お店で“本物のジビエ”に触れてみませんか
「いきなり免許取得はハードルが高い」という方も、まずはお店でジビエを食べ比べるところから始めてみてください。鹿・猪・熊それぞれの香りや脂の違いを知ることは、これから猟をする方にとっても大切な“ものさし”になります。
ご来店の際、狩猟や免許のことで気になることがあれば、店主・林までお気軽にお声がけください。猟師さん・狩猟ガイドさんとのご縁をご紹介できることもあります。
皆さまのご来店、心よりお待ちしております。
※本記事は2026年時点の一般的な情報をもとにまとめたものです。最新の制度・費用・要件は、お住まいの都道府県・所轄警察署・地元猟友会で必ずご確認ください。
