カラスは日常的に見かける野鳥の一種です。日本にはカラス科の鳥が10種類いますが、主に見かけるのは「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」の2種類です。中でも、都会に住みついてゴミを荒らすことがあるのはハシブトガラス。威嚇してきたり、襲ってきたりすることもあるため、怖い思いをした方もいるかもしれません。
全国的にカラスに関する苦情・相談件数は減っているものの 、今もなお多くの人がカラスによる被害を受けているのが現状です。そんな中、カラスを食肉(ジビエ)として活用する動きがあります。
そこでこの記事では、カラスの気になる味や食べ方、駆除方法などを詳しく解説します。
カラスの特徴や行動特性
カラスは日本をはじめ、世界中に生息しているカラス科の大型鳥類です。まずは、カラスの特徴や食性・行動特性・繁殖活動について紹介します。
都会でごみを荒らすのはハシブトガラス
日常的に見かけるカラスのうち、主に都会で暮らすのが「ハシブトガラス」です。
本来ハシブトガラスは森林に住む鳥ですが、都会には生ごみをはじめ食べ物がたくさんあること、得た食べ物を隠す「貯食」がしやすいなどの理由で、都会に住みつくようになりました。
多くは公園や神社の樹木に巣を作りますが、マンションの屋上やビルの広告塔などにも巣作りすることがあります。
農作物を荒らすのはハシボソガラス
草原や農耕地など、開けた場所に住むのが「ハシボソガラス」です。
ハシブトガラスよりやや小さく、くちばしが細いという特徴があります。主に木の上で過ごすハシブトガラスとは違い、歩きながら餌を探します。昆虫や動物の死骸、種子など何でも食べる雑食性ですが、特に好むのは野菜や果実などの農作物です。
そのため、全国各地でハシボソガラスによる農作物への被害が多発しています。
農作物へ大きな被害をもたらしている
農作物を食い荒らす動物はたくさんいますが、中でも鳥類による被害はカラスが最多です。農林水産省「全国の野生鳥獣による農作物被害状況(令和4年度)」 によると、サルやアライグマといった動物よりも大きな被害をもたらしています。
カラスは野菜や果実を食い荒らすだけでなく、ビニールハウスに穴を開けたり、まだ成長していない苗を引き抜いたりするなどのいたずらもします 。
カラスによる被害量や費額総額は深刻化しているため、駆除は必至と言えます。しかし、ただ駆除をして数を減らすだけでなく、食肉(ジビエ)として有効活用することが非常に大切です。
カラスは意外と美味しい!味や食感、食べ方を紹介
カラスを食べると、どのような味がするのでしょうか。ここでは、カラスの味や食べ方などを解説します。
濃い赤身、レバーのような味わい
カラスの肉は赤身で、レバーのような味わいです。牛肉のようだと例える人もいれば、鯨のようだと例える人、いつも食べている鶏肉と似ていると感じる人もいます。
また、カラス肉は甘味よりも酸味を感じやすいのが大きな特徴です。独特の風味はあるものの、きちんと処理されていれば臭みは感じにくく、美味しくいただけます。
ジビエ料理店「あまからくまから」では、山のカラスの炭火焼をご提供しています。
脂が少なく筋肉質で歯ごたえのある食感
カラスは脂肪が少なく肉質は硬め、食感は鶏の胸肉に似ているとよく表現されます。下ごしらえや調理法によっては、肉質を多少しっとりさせることもできます。
肉は歯切れの良い食感ですが、皮は嚙み切れないほど硬いので、食べるときには皮を剥いでから調理したほうが良いでしょう。
煮込み料理や唐揚げなどがおすすめ
カラスは肉質が硬いので、ミンチにして調理したり煮込んだりするのがおすすめです。シンプルに焼いて食べるほか、唐揚げ、ジャーキーなどさまざまな食べ方ができます。
他の食肉と同様、しっかりと中まで火を通して調理し、生食は避けましょう。食中毒や寄生虫の感染といったリスクが考えられるため、生食は非常に危険です。
カラスを駆除する方法 (巣落とし)
カラスがたびたび近くにいたり、威嚇してきたりする場合は、近くにカラスの巣があるのかもしれません。巣の中に卵や雛がいると攻撃的になり、近づいてきた人間に襲いかかることもあるからです。
カラスを駆除する際には「巣落とし」が行われます。カラスの巣に卵や雛がいないことを確認し、棒などを使って巣を落とす方法です。
ただし、巣落としをするときはタイミングが重要です。繁殖期の早い時期に巣落としをすると、なわばりの中にまた別の巣を作ることがあります。巣落としをする前に、近くにカラスがいないかどうかも確認しましょう。
もし、見つかってしまうと敵とみなされて襲われます。カラスがいない夜間に巣落としするのが良いでしょう。
カラスを駆除するときの注意点
カラスは鳥獣保護法によって、勝手に駆除することができません。ただし、条件を満たせば専門業者や自治体に依頼しなくても、自分で駆除することが可能です。
カラスを駆除するときの注意点は、次の3つです。
- 鳥獣保護法により勝手に駆除できない
- 都会での大量捕獲や駆除は難しい
- 賢いカラスが寄り付かなくなる工夫が必要
鳥獣保護法により勝手に駆除できない
カラスは鳥獣保護法により、駆除をする際には都道府県知事の許可を得る必要があります。迷惑だからといって勝手に駆除したり、卵や雛を捕まえたりはできません。
自治体によって対応方法や相談窓口が異なるので、被害が大きい場合にはまず各自治体に相談してみましょう。
カラスの巣落としも同じく、卵や雛、親のカラスがいる状態で勝手に巣落としをしてはいけません。また、カラスの巣ができている場所の所有者や管理者から、巣落としや駆除の同意を得る必要があります。
都会での大量捕獲や駆除は難しい
都会や住宅地では、わなを仕掛けての駆除や銃殺は難しく、カラスの大量捕獲や駆除は困難と言えます。そのため日頃から、カラスにとって住みづらく、寄り付きにくい環境を整えることが重要です。
カラスよけの方法はいくつかあります。
- 鳥よけネットやバードピンの設置
- ダミー人形の設置
- 超音波が出る装置の設置
- 忌避剤を撒く
- わなを設置する
さまざまなカラスよけグッズが販売されていますので、住んでいる環境や被害の程度に合わせた方法を試してみましょう。
賢いカラスが寄り付かなくなる工夫が必要
カラスは非常に賢く、食べ物をあちこちに隠したり、胡桃を車に轢かせて中身を食べたりするなど、高い知能を持っています。
そのため、明らかにわなだとわかるものには近づかなかったり、危険を察知すると周囲のカラスにも伝達したりするなど、なかなか捕まえられません。被害が発生する前に、カラスが寄り付かなくなるよう対策しましょう。
例えば「ダミー人形を設置する場合は毎日位置を変える」「ごみ用のネットは隙間なくしっかりとかける」などの工夫が必要です。
まとめ
害鳥として扱われることが多いカラスですが、実はとても美味しい鳥です。このお肉をもっと有効活用し、流通させるには、消費者の皆さまのご協力が欠かせません。
ジビエ料理専門店の「あまからくまから」では、ジビエの美味しさや魅力を広めるため、さまざまな肉をご提供しています。他にも、キョンやハクビシンといった外来種の肉をお楽しみいただけます。
カラスをはじめとするさまざまなジビエを食べてみたい方、有害鳥獣を廃棄処分するのではなく、食べて応援したい方はぜひ当店にご来店ください。
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