食べる動物図鑑 ≪羆≫≪月の輪熊≫
近年、日本でも野生鳥獣の肉を美味しく食べるジビエ(gibier)が注目されています。主なジビエの一つが、日本にも生息するツキノワグマやヒグマなどの熊肉です。
とくに冬ごもり前の時期の熊肉は、果実や木の実をたっぷりと食しているため、味が良いとされています。この記事では、そんな熊肉の美味しい部位や、おすすめの食べ方について紹介します。
熊肉の美味しい部位4選
日本は、古くから狩猟肉を食べる文化のある国です。ジビエは、社会的階級を問わず幅広い人々に愛されてきました。そして近年、各方面でジビエを広めようというムーブメントが起こっています。
そのような背景もあり、鹿肉(もみじ)や猪肉(ぼたん)だけでなく、熊肉を提供するジビエレストランも増えています。
熊肉には、ロース・ネック・モモ・スネ・リブ・トモバラなど、さまざまな部位があります。ここでは、熊肉の中でもとくに美味しいとされる部位を4つ紹介します。
- ロース(背ロース)
- 肩ロース
- ヒレ(内ロース)
- ランプ
ロース(背ロース)
ロースは熊の背中側にある部位のことで、一般的には「背ロース」を指します。熊肉の背ロースは、赤身と脂身のバランスが取れており、当店での使用料ももっとも多い人気部位です。
背ロースの手前には、ネックと呼ばれる部位もあります。背ロースよりも脂身が多く、しっかりとした歯ごたえが特徴で、ステーキには向きません。
肩ロース
肩ロースは、熊の肩から背中にかけて位置する部位です。背ロースよりも脂が分厚いものの、やわらかな肉質からステーキなどの調理法に適しており、高い人気があります。熊肉ならではの甘く感じられる脂を堪能したい方におすすめです。
肩ロースの近くには、ウデ(肩)と呼ばれる部位もあります。こちらはやや歯ごたえがあるため、焼いて食べるよりも鍋や煮込み料理に適しています。
ヒレ(内ロース)
ヒレとは、内ロースとも呼ばれ、熊の腹部にある内転筋に相当する部位です。一頭からわずかな量しかとれず、ジビエレストランでも高級部位の一角として扱われます。
ヒレは熊の体の内側にあるため、運動による刺激をほとんど受けず、肉質は熊肉の中でも一番やわらかくなっています。また脂身が少なく、赤身の濃厚なコクと味わいを求める方におすすめです。
ランプ
ランプは、熊の腰からお尻にかけての部位です。ロースのすぐ隣に位置しており、赤身と脂身のバランスに優れています。
赤身の部分はきめが細かく、野性的で濃厚な味わいが特徴です。熊は前脚よりも後ろ脚の方が運動量が少ないため、肉質は肩ロースよりもやわらかいとされています。
部位別!熊肉の美味しい食べ方
ここでは、熊肉を脂ののった部位・高級部位・スジ肉が多い部位の3つに分け、おすすめの食べ方を紹介します。
脂ののった部位は熊鍋がおすすめ
熊肉の魅力の一つは、牛や豚などの畜肉とはまったく異なる風味を持つ脂にあります。とくにロースや肩ロース、ランプなどの脂ののった部位は、熊鍋にすると絶品です。どこか甘く感じられる脂の美味しさや、熊肉ならではの食感を楽しめるでしょう。
高級部位を煮込むのがもったいないと感じる場合は、しゃぶしゃぶにするという方法もあります。また鍋料理にするなら、モモの外側に位置する「外モモ」や、より内側の「内モモ」もおすすめです。肉質はランプよりもやや硬いものの、モモ肉らしからぬしっかりとした脂を堪能できます。
高級部位はそのまま焼いて食べるのがおすすめ
熊肉における高級部位とは、ロース・肩ロース・ランプ・ヒレを指すことが一般的です。
ヒレをのぞく部位は、ジビエレストランでは鍋料理としても提供されます。しかし、熊肉本来の味わいを楽しむなら、そのまま焼いて食べるかしゃぶしゃぶにするとよいでしょう。ヒレは焼き肉だけでなく、カツで食べるのもおすすめです。
ただし、ロースや肩ロースなどの部位は、強火で焼いたり網の上で焼いたりすると、旨味の元となる脂が溶け落ちてしまいます。焼き肉にするときは、鉄板やフライパンを使い、弱火でじっくり時間をかけて焼くのが美味しく食べるポイントです。
焼いて食べるなら、リブ(バラ肉)もおすすめです。リブは赤身にサシ(脂身)が入っており、焼肉における「カルビ」に相当します。脂のこってりとした味わいを楽しみたい方は、リブを焼いて食べるとよいでしょう。
またヒレやロースに隣接する「シンタマ」という部位も、焼くと牛タンのような歯ごたえがあるため、リブと並んで人気があります。硬さが気になる場合は、焼くときにバルサミコ酢などを塗ると、肉質がやわらかくなります。
スジ肉が多い部位は煮込み料理がおすすめ
熊肉の部位の中でも、前バラやウデ(肩)、スネなどの部位は、スジ肉が多く硬い食感です。こうした部位は、焼くと歯ごたえが強いため、煮込み料理にするとよいでしょう。熊肉の風味が凝縮されているため、濃厚なコクを堪能できます。
ただし、スネ以外の部位は、薄くスライスすると焼き肉としても食べられます。前バラやウデを美味しく食べるには、スジの多さから調理技術を要するため、ジビエレストランの利用がおすすめです。
ジビエレストランでは、熊肉のタタキやステーキなど、ここでは紹介していないメニューも提供しています。ジビエの中でも旨味が強く、濃厚な味わいが感じられる熊肉をぜひ体験してください。
熊肉を美味しく食べるコツ
熊肉を美味しく食べるには、下ごしらえが重要です。熊肉を調理する場合は、まず食べやすい大きさに切り、しっかりとアク取りをしましょう。
また脂が苦手な方や、独特の野生的な風味を軽減したい方は、しゃぶしゃぶにするとさっぱりとした味わいになります。
食べやすい大きさに切る
まずは熊肉を食べやすい大きさに切りましょう。熊肉をはじめとしたジビエには、独特の臭みがあります。熊肉をカットすることで、臭みが抜けやすくなります。熊肉を塊肉のまま調理すると、野性的な風味が強く残るため注意しましょう。
水で煮てしっかりとアクを取る
次に熊肉をたっぷりの水に浸け、アク取りをします。熊肉を煮始めると、白っぽいアクが大量に出てくるため、お玉などですくい取りましょう。
水が沸騰してもアクが出てこなくなったらお湯を捨て、やけどしない程度の温度で熊肉を洗ってください。熊肉の周辺にアクが残っているため、お湯で洗うときれいに臭みを取り除けます。
さっぱり楽しむならしゃぶしゃぶにする
ロースや肩ロースなどの部位は、しゃぶしゃぶにしても美味しく食べられます。熊肉を薄切りにし、沸騰した出汁にさっとくぐらせると、アクが落ちさっぱりとした風味を楽しめます。余分な脂肪分も減らせるため、健康志向の方にもおすすめの調理方法です。
熊肉の人気部位を美味しく食べるならジビエ専門店に!
熊肉はジビエの中でも、旨味が強く、濃厚な味わいを特徴としています。とくにロース(背ロース)や肩ロース、ヒレ(内ロース)、ランプなどの部位は、ジビエレストランで人気が高く、焼いても煮ても美味しく食べられます。
熊肉の美味しさを体験してみたい方は、ぜひ「あまからくまから」にご来店ください。「熊の季節」とも呼ばれる冬ごもり前の時期はもちろん、さっぱりとした味わいが楽しめる春メニュー、夏バテ防止・スタミナたっぷりの夏メニューなど、四季の移ろいに合わせた特別なジビエ料理を提供いたします。
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