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穴熊の生態・習性や肉の特徴をジビエ専門店の店主が詳しく紹介

穴熊の生態・習性や肉の特徴をジビエ専門店の店主が詳しく紹介

穴熊は、日本に昔から生息する在来種の一種です。別名「狢(むじな)」とも呼ばれており、「同じ穴の狢」のことわざがあるほど、日本にとって身近な動物とされています。近年は里山に下りてくることも珍しくないため、日常生活でその姿を目にしたことがある人も多い一方、食材としてはあまりなじみがないのではないでしょうか。

そこで今回は、ジビエ料理の材料の一つでもある穴熊の知られざる生体や習性、穴熊の肉の味と特徴、旬となる季節についてまとめました。穴熊のジビエ料理に興味・関心がある方はぜひご覧ください。

穴熊の生態や習性

穴熊は食肉目イタチ科に属するほ乳類の一種です。冒頭でも説明した通り、日本に昔から存在する在来種で、生息地は本州から四国、九州、小豆島など広範囲にわたります。元々は山地帯下部から丘陵部の森林、灌木林などに巣を作って暮らす習性がありますが、近年は食物を求めて里山に下りてきたり、住居に侵入して巣穴を作ったりするケースも増えてきています。

見た目は全体的にくすんだ褐色をしていて、目の周りのみ黒褐色、鼻筋が白いところが特徴です。

食性

雑食で、みみずなどの土壌動物から昆虫、カエルなどの小動物、果実まで多種多様なものを好んで食します。そのため、里山に下りてくると農作物や家畜に被害が出る場合も多く、深刻な害獣被害に悩まされるケースも少なくありません。

特に秋は冬眠に備えて食欲が旺盛になる傾向にあり、害獣被害が起こりやすいといわれています。
よく熟した柿やぶどうが大好きでシャインマスカットなどの高級ぶどうも狙われます。
この果物畑で駆除された穴熊は実は最高の美味しさのお肉になります。特に、甘くて不思議な香りの脂が絶品です。

繁殖

出産は年に1回で、春頃に1~4頭ほどの子を生みます。秋になる頃には体のサイズは親と同程度になり、独立して過ごすようになります。

気性

穴熊は基本的に臆病な性格をしており、敵に遭遇したときや危機を感じたときは擬死行動と呼ばれる、いわゆる死んだふりで身を守ろうとします。

ただし、追い詰められると威嚇行動を取ったり、襲いかかってきたりすることがあるため、身近なところで見かけたとしても不用意な接触は避けた方が良いでしょう。いたずらに刺激せず、距離を取って逃げ道を作ってあげれば、そのまま立ち去るケースがほとんどです。

害獣被害

穴熊は臆病で、人に襲いかかるケースは少ないと説明しましたが、身近な場所や人家などに巣を作られるとさまざまな害獣被害に見舞われる恐れがあります。

特に農家を悩ませているのが農作物への被害で、穴を掘って畑を荒らしたり、農作物を食べたりする事例が多数報告されています。穴熊は雑食ですが、特に甘いものを好んで食する性質があるため、スイカやトウモロコシなど糖度の高い作物を育てている場合は要注意です。

また、穴熊は大きな穴を掘って巣作りする習性があるため、住宅の下などに巣を作られると地盤が脆くなる恐れがあります。さらに、床下に住み着かれた場合はフンによる悪臭や感染症などのリスクが高くなるため、自宅近くで穴熊を見つけた場合は床下に巣を作られていないか確認した方が良いでしょう。

穴熊の肉の味や特徴

昔話などでよく出てくるたぬき汁は、たぬきだけでなく狢こと穴熊の肉を使って作る料理でした。現代でいうたぬき汁は、たぬきに見立てたこんにゃくを用いた精進料理として知られていますが、今なお穴熊を食用として調理する風習は残っています。

気になる肉の味ですが、穴熊は比較的脂肪分が多いのが特徴です。クセが少ない赤身に甘い脂が乗ったコクのある味わいと評されます。特に冬眠に備えて脂肪を蓄える秋頃の穴熊の肉は絶品で、ジビエ愛好家の中でも高い人気を誇っています。脂が多いと「しつこい」「重たい」イメージを持たれがちですが、穴熊の脂はしつこさがなく、軽い味わいであるため、旨みだけをしっかり堪能できるでしょう。

ジビエ特有のにおいはありますが、適切な方法で下処理を行えばほとんど気にならない程度であるため、ジビエ初心者の方にもおすすめです。

穴熊の肉を使った料理

その昔、たぬき汁の材料として用いられてきたことからも分かる通り、穴熊は鍋や汁物として食べられるケースが多いです。鍋と一言にいってもバリエーションは豊富で、根菜類や葉菜類と一緒に味噌ベースで煮込むものもあれば、すき焼きの材料として用いることもあります。


汁物以外には、角煮にしたり、赤ワインで煮込んだりしたものも好んで食されます。また、肉質が比較的軟らかいため、煮込まず炭火で焼いたものもおいしくいただけるでしょう。さらに、お店によっては低温で処理した穴熊の脂を冷やして刺身にするところも。下処理で臭みをしっかり取れば、においを気にせず、穴熊特有の甘い脂を堪能できるところが魅力です。

このように、穴熊の調理法は多種多様なため、その日の気分や好みに合わせてさまざまな楽しみ方ができるでしょう。

穴熊料理を楽しむには

前述したように、穴熊は農作物や人に害を与えることから、捕獲や駆除の対象となっています。実際、捕獲・駆除した穴熊の肉を適切に処理し、ジビエ料理として楽しんでいるケースは少なくありません。

ただし、穴熊は鳥獣の保護および管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)の対象生物であり、狩猟による捕獲を除き、原則として捕獲、殺傷、採取が禁止されています。ここでいう狩猟とは法定猟法によって狩猟鳥獣の捕獲等を行うことで、狩猟を行う場合は特定の免許を取得した上で、狩猟者登録も行う必要があります。

鳥獣保護管理法に違反して野生の鳥獣を捕獲した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されるため、たとえ生活圏内に穴熊がいたとしても、勝手に狩猟・捕獲しないよう注意が必要です。[注1]

また、自治体によっては捕獲そのものを制限しているケースもあり、たとえ免許を取得していても、特定の場所で狩猟・捕獲を行うと罰則の対象となる場合があります。個人で免許取得・登録を済ませ、穴熊を捕獲して調理している方もいますが、手軽に穴熊料理を楽しみたいのなら、ジビエ料理専門店でプロが作った料理を堪能することをおすすめします。

[注1] 環境省「鳥獣の違法捕獲の防止」(参照 2025-06-13)

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近場で穴熊を見かけたらどうする?

狩猟免許や登録を行っていない場合、近場で穴熊を見かけたとしても勝手に駆除はできないため、然るべき機関に依頼して対応してもらう必要があります。

最も一般的な相談先は、お住まいの市町村役所です。住居の床下に穴熊の巣穴を作られたり、里山に下りてきた穴熊から食害などを受けたりしていることを報告すれば、害獣駆除業者を紹介してくれる場合があります。自治体によっては害獣駆除にかかった費用の補助や助成を行ってくれるところもあるため、補助金の有無を確認するためにも、まずは市町村役所への相談をおすすめします。

ただし、全ての自治体がサポートに対応しているわけではなく、場合によっては自ら害獣駆除業者を探し、駆除を依頼しなければなりません。その場合、業者の選定や駆除の費用は全て自己負担となるため注意が必要です。

近場に生息している場合、放置していると巣穴が広がったり、被害が大きくなったりする可能性が高いため、何らかの被害に遭ってい場合はなるべく早急に対処した方が良いでしょう。

穴熊の旬はいつ?

ここまで説明してきた通り、穴熊は冬眠に備えて食欲が旺盛になり、体に脂肪を蓄えるようになります。穴熊の脂肪は非常に甘く、量が多いほど味に深みやコクが増すため、穴熊料理を楽しみたいのなら秋~冬が狙い目でしょう。なお、旬の頃に冷凍保存した在庫があれば秋冬以外の季節でも穴熊料理を食べることが可能です。

あまからくまからでは、ジビエ初心者でも楽しめる軟らかくて臭みのない穴熊料理を各種提供しています。「長崎や熊本、長野から仕入れた新鮮な穴熊をこだわりの調理法で食べてみたい!」という方は、ぜひあまからくまからへお越しください。

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この記事の投稿者

あまからくまから 店主 林育夫
この記事を書いたのは、ジビエ料理の専門店を経営する有限会社ティナズダイニング 代表の林育夫(はやしいくお)です。

1987年から飲食業界に携わっており、1994年に独立し日本橋人形町に自分のお店を構えました。
2000年には法人化し有限会社ティナズダイニングを設立しました。

現在は、東京都内で、熊、鹿、猪、鳥などの新鮮なジビエ料理が楽しめる「あまからくまから」と、アイヌの伝統文化を体感しながらアイヌ料理を味わえる「ラムレンカイネ」を運営しています。

TBS「ラヴィット」やNHK「NHKスペシャル」などのテレビや、新聞「日刊スポーツ」、雑誌「おとなの週末」など多数のメディアでもご紹介いただいています。
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