
名前の通り、「ヒーヨヒーヨ」という鳴き声が特徴のヒヨドリは、雑木林から民家の庭まで、さまざまな場所で見かける野鳥の一種です。
海外ではめずらしい鳥なので、諸外国からヒヨドリのバードウォッチングに訪れる外国人もいるほどですが、実は観賞用だけでなく、食用としても注目されています。
今回はそんなヒヨドリの食べ方や旬、味や魅力について詳しく解説します。
ヒヨドリは美味しく食べられる?旬は?
ヒヨドリは身近な野鳥なので、これまでヒヨドリを食べたことがない方にとっては食用というイメージは湧きにくいかもしれません。しかし、狩猟をしている方の中では、ヒヨドリは特に美味しい野鳥として知られており、好んで狩る方も少なくありません。
実はヒヨドリは果実や野菜の畑を食い荒らす害鳥としても知られています。特に果樹が好きで大群でやってくると果樹農家さんの被害は甚大です。
日本農業新聞によると ”農水省は毎年度、各種野生鳥獣による農作物の被害面積・額の調査を行っていて、2023年度のヒヨドリの被害額は約3億3300万円。熊やアライグマに匹敵する被害をもたらしています。24年度は「ヒヨドリによる被害がこれまでにないほど大きい」”そうです。
畑を守るためにヒヨドリを駆除しつつ、美味しく頂くというのが理想的ですね。
ヒヨドリの旬
ヒヨドリは一年中、日本国内で見られる留鳥の一種ですが、寒冷地に生息するヒヨドリは秋になると温暖な南の地域へ移動する漂鳥でもあります。
北から南へ渡ってきた当初は体力が消耗し、体も痩せていますが、南下を終えた1~2月頃になると脂肪を蓄えるようになります。そのため、ヒヨドリを食べるのなら狩猟期の初期(11月頃)に狩ったものよりも、終盤(2月頃)に獲ったものの方が脂が乗って美味しいと言われてるのです。
なお、ヒヨドリは果実や野菜などを食べて栄養を蓄えるので、これらのエサが近場にあるか否かによって脂の乗り方に差が出ます。例えば、栄養価の高いミカンを食べるヒヨドリは早い段階で脂が乗り始めますが、そうでない地域では脂の乗り始めが遅い傾向にあるようです。そのため、脂の乗ったヒヨドリを食べたいのなら、猟場の特徴もチェックしておくのがポイントと言われています。
近藤史恵さんの小説「みかんとひよどり」ではみかんをたっぷり食べたひよどりを主人公が料理しますが、これが抜群に美味しそうなんです。
もちろん、あまからくまから でも2月になると「みかんをたっぷり食べたひよどり」を食べることができます。
ヒヨドリの美味しい食べ方
狩ったヒヨドリは鶏と同じく、焼き鳥や唐揚げにして食べるのが一般的です。
中でも脂が乗っているヒヨドリは、炭火で炙って食べるのがおすすめ。ヒヨドリの肉を丸ごと網に載せ、脂が落ちて音を立てるようになったらハサミで適当な大きさにカットして味わいましょう。
一方、脂が少ないヒヨドリは炊き込みご飯にして食べるという方法もあります。ヒヨドリの骨はしっかり焼けば丸ごと食べられるほど細いのですが、よい出汁が出るため、お米と一緒に釜に入れて炊けば美味しい炊き込みご飯になります。
他にも、野菜と一緒に煮込んで汁物にするなど、一般的な鶏肉とほぼ同じ調理法で頂くことが可能です。骨が残った場合は、ラーメンなどのスープを取るのに使ってもよいでしょう。
ヒヨドリの調理法
狩猟で獲ったヒヨドリを自分でさばいて食べる場合、まず羽根を丁寧にむしり取ります。ある程度羽根をむしったら、火で炙って残った毛や羽根を処理します。次に、頭と足を落とした後、肛門からハサミを入れて内臓を抜き取りましょう。処理した部分をそれぞれ流水できれいに洗ってから、上半身と下半身に分けてカットしたら下ごしらえは完了です。
前述の通り、骨は揚げたり焼いたりすればそのまま食べられますが、気になる場合は事前に包丁で骨を念入りに叩いておくと、より軟らかく仕上がるでしょう。
なお、水洗いしても血が気になるという場合は、酢を使った血抜き処理を行います。水洗い後、カットした肉と内臓を、りんご酢大さじ1を混ぜた水に浸し、そのまま一晩置いてから再度流水で洗うと臭みが取れます。

ヒヨドリを美味しく食べる代表的なレシピ
ヒヨドリを美味しく食べられる代表的なレシピを3つご紹介します。
ヒヨドリの唐揚げ
【材料】
- 下ごしらえしたヒヨドリ
- 片栗粉
- 塩こしょう
【作り方】
- 下ごしらえを済ませたヒヨドリの手羽先とモモに切れ目を入れ、骨を叩いておく。
- 心臓と砂肝は開いて中をよく洗う(砂肝は内皮もむく)。肝臓はきれいに洗っておく。
- それぞれに塩こしょうで下味を付け、適量の片栗粉をまぶす。
180度の脂に肉と内臓を入れて火を通す。骨が気になる場合は二度揚げする。
内臓は火を通しすぎると硬くなるので、短時間で仕上げるのがおすすめです。
ヒヨドリの具だくさんスープ
【材料(2人分)】
- ごぼう、まいたけ、ねぎ、もやしなどお好みの野菜
- 顆粒だし:4g
- 水:2カップ
- 酒:大さじ1
- しょうゆ:大さじ1/2
- しょうが:適量
- 卵:1/2個
- 塩:小さじ1/2
- 片栗粉:大さじ1/2
【作り方】
- 野菜を適当な大きさにカットする。ごぼうなどはあく抜きをする。
- 鍋に材料の水を入れて沸かし、顆粒だし、酒、しょうゆを入れ、野菜類を投入して軟らかくなるまで煮る。
- ヒヨドリを包丁で細かくなるまで叩き、すりおろししょうが、卵、塩、片栗粉を入れて混ぜたら、適当な大きさに丸める。
- 2の鍋に3を入れて火を通し、好みでねぎや七味を添える。
特に重要な作業は3で、叩き方が足りないと骨の食感が残ってしまう恐れがあります。包丁を2本使い、時間を掛けて徹底的に叩くのが美味しく仕上げるコツです。
ヒヨドリの炊き込みご飯
- ヒヨドリ 1羽~2羽
- 米 1号
- だし汁 400cc
- しょうゆ 大さじ1
- ごぼう 1/2本
- にんじん 1/2本
- ごま油 大さじ1
- ◎酒 大さじ1
- ◎砂糖 小さじ1
- ◎しょうゆ 大さじ2
- ◎みりん 大さじ2
- 米をとぎ、だし汁としょうゆを入れて30分置く。
- ささがきや細切りにしたごぼうとにんじんをごま油で炒め、しんなりしたら◎の調味料を回し入れる。
- 粗熱の取れた2と下ごしらえしたヒヨドリを入れ、炊飯器で炊く。
- 炊きあがったら混ぜ、好みでねぎや白ごまを振る。
ヒヨドリの骨からいい出汁が出るので、骨付きのまま炊くのがポイントです。
ご家庭で食す場合はこれらが手軽だと思います。
あまからくまからでは炭火で炙っておだししています。
ヒヨドリの味や魅力
ヒヨドリの魅力は、甘味のある脂身と、野鳥ならではのしっかりとした味わいです。特に一番脂が乗っているお尻まわりはコクがあり、小さいヒヨドリでも十分に満足できます。それでいて、鶏の脂肪に比べて上品な味わいなので、嫌な後味が残らないところもヒヨドリの特徴です。一方、肉の方はちゃんとした厚みがあるのは胸肉あたりに留まるものの、鶏の胸肉に比べるとジューシーで、ややレバーのような風味があります。肉はさほどありませんが、しっかり火を通せば骨のぱりぱりとした食感も楽しめるところがヒヨドリならではの魅力でしょう。
ヒヨドリの肉は、野鳥の中でも特に美味しいと評判のジビエですが、肉や内臓は一般に流通していません。また、狩猟するには特定の免許を取得しなければならないため、ハードルが高く、家庭で楽しむのは困難です。そのため、美味しいヒヨドリの肉を手軽に楽しみたいのなら、ジビエ専門店を利用することをおすすめします。
ジビエ料理専門店のあまからくまからは、ジビエ初心者でも楽しめるさまざまな料理を提供しているお店です。適切な方法で調理されたジビエ肉は、嫌な臭みや硬さがなく、初めての方からも「美味しい」「軟らかい」と好評です。
今回ご紹介したヒヨドリはもちろん、その他、さまざまなジビエ肉のおすすめメニューを数多く取りそろえているので、本当に美味しいジビエ肉を食べたい、興味があるという方は、ぜひあまからくまからをご利用ください。
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